ゆうとの日記

学生生活終了間際の学生が日々のアウトプットをするための日記です。アクチュアリーだったり、映画だったり、数学だったり、いろいろなことについて雑多にアウトプットしていこうと思います。

「若き数学者のアメリカ」を読んで。(20.1冊目)

皆さんこんにちはこんばんは。

久しぶりの読書感想です。今回の作品は、藤原正彦さん著作の、「若き数学者のアメリ」です。

このような表紙です。

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この本は何度か読んだことがあるのですが、改めて読みたくなって、今日割と長い時間読んでいました。

1970年代前半に数学者である藤原先生が研究をするためにアメリカに渡る、その際の紀行文です。時代がかなり古いですが、それだけに当時の日本人が抱く海外、アメリカというものの印象が鮮明に伝わってくる感じがします。数学者の、とタイトルがついていますので数学的な内容が多いのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが決してそんなことはありません。

むしろ数学の内容に踏み込んだ話は皆無と言ってもいいほどで、アメリカで著者が感じたこと、体験したことなどの描写ばかりです。ですので数学の苦手な方でも全然読める本になっています。何しろ数学の話がないのですから。

 

それではこの本を読んだ感想に移りたいと思います。

  1. 全体としてのざっくりとした感想
  2. 特に印象的だなと思った部分、気づき
  3. 今後実践しいきたいこと

 

このような構成で行こうと思います。これはアウトプット大全を読んだ時に学んだことです。

アウトプット大全の感想② - ゆうとの日記

(今回は何か成長したい!と思って読んだわけではないので元々の目標は立てていませんが、やはり読書感想なのに変わりはないのでこの形式に則って進めていきたいと思います。)

 

1.全体としてのざっくりとした感想

 

まず、この本は前述したとおり1970年代初頭における藤原先生のアメリカでの体験記です。

当時はまだ海外、およびアメリカに行くことが珍しかったんじゃないかなと思います。そんな中、アメリカに対し敵意や劣等感を抱いたり、自分を強く見せよう。私が無能だと日本人全体が馬鹿にされかねない、みたいな描写があったり、初めての海外で精神的に参ってしまう。故郷を想う、両親からの手紙に心を温かくする描写などもあったりして読んでてとても新鮮でした。これは現代ではあまり感じないことかもしれないと思ったからです。というのも、現代では携帯やネットが本当に当たり前になってきており遠く離れたところにいてもすぐ故郷の人と繋がれます。分からないことがあってもすぐに調べられたり、外国人との意思疎通もGoogle先生に頼ればそれこそ何とかなります。それに私がしっかりしないとお国の人たちが馬鹿にされる…といったような国のことまで考えた行動というのは現代の僕たちってそこまで意識することはないと思うのです。

そういうことを考えると、携帯などもない時代、自分の力で何とかするしかない時代に感じる孤独感や、言語面で苦労する藤原先生の描写にすごく新鮮味を覚えたし、同時に「分かるかもしれない」と共感さえもしました。

 

藤原先生の文章はとてもとても読みやすいです。なんと言ってもテンポ感、リズム感がいい。スラスラ読めてしまうのです。なぜ読みやすいんだろうと考えたところ、情景描写や心情説明が非常に丁寧なのです。それだからこそ、景色が容易に想像出来たりとか、当時の先生の心情が理解できる、だから読みやすいのです。

最近お堅めな自己成長のために!みたいな本を読んできただけに、心情が素直に表れている文章はとても心地が良かったです。

 

また、先生はいかにも昔の男児って感じの方で、こういうときには威厳が大切だ、とか、ここで舐められたら日本の恥だ、とか、カジノで負けたことがとても悔しくて、とか負けず嫌いで勝気な性格なのも面白かったです。そういう心情も文章にダイレクトに現れているのがとても良かったと思います。

 

2.特に印象的だと思った部分、気づき

 

そうはいってもそれだけが藤原先生の文章の良さではありません。

藤原先生のさらにいい部分は、自分の思ったことを徹底的に考えてしっかり意見を述べている点。それと情緒の部分を非常に大切にしていらっしゃる点です。

 

藤原先生の実体験や当時の葛藤などが出てきた時、先生は、この気持ちは一体どこから来るのだろう、ということを徹底的に考えていたのです。ある種妥当な答えが出たとしても、これじゃイマイチ腑に落ちないと思ったら別の理由をとことん探すのです。この内省の徹底さは数学者の血なのかなと思ったりしましたが、それがしかもわかりやすいのです。

アメリカに融和するには、日本性を維持したまま、ただ気持を開いて彼らに接するのが近道である。気持を開くというのは易しいことではないが、それさえ出来れば既にアメリカ人と違いはない。心からの礼を述べる時には、口先でサンキューというよりは、誠意を込めて深々と頭を下げた方がはるかに効果的だ。夫人同伴でパーティに行っても奥さんの椅子を引いてやるのは日本的ではないから不自然だ。帰りがけに、奥さんが亭主の上着を手伝ってやれば二人は皆の人気者になるであろう。他人の迷惑にならない限りは全て自然な日本流で通すのがアメリカ社会に快く受け入れられる秘訣だと思われる。人の心というのは、洋の東西を問わず驚くほど、共通性がある。そして、その心は自然な態度によって最も正確に伝わるのである。

 

こんな感じです。当時の日本の風習が今で言う日本らしさかと言うとわかりかねる部分もあるのですが、しっかりと先生なりの意見を伝える、そして心の伝え方を書かれている点が素敵だなと思いました。

 

また、アメリカに関してかなり詳細に考察した最終章は一読の価値ありです。詳しい部分は是非本書を読んでその部分の感想を個人個人で持っていただきたいのですが、最終章のアメリカの情緒的な面からの考察や、当時の民族の多様性についての言及、それでも人の心は国の違いを超えて驚くくらいたくさんの共通点がある、のような部分にとても感動しました。

 

ほんとに最後の章だけでも読む価値はあります。

 

3.今後実践していきたいこと

 

今後やっていきたいことを述べます。まず英語の勉強に関してです。

今現在TOEICの勉強を始めて間もないですが、発音、使い方の上手い下手を問わずなりきってやってみること、学んだ単語やフレーズはすぐどんどん使うことは僕も真似しようと思いました。

 

加えて、先生のように、僕も1つの物事に対してじっくり自分なりの意見を出せるようになりたいです。そればっかりは自分でしっかり時間を取ってひとつのことに想いを馳せるのが大事なのかなと思ったので、ぼーっとする時間を定期的にとってそこで考えることをやってみようかな笑←これ全然具体的じゃないですが、考えたことをブログにするのはやる価値はありそうだなと思っています。笑

 

最後に、藤原先生のエッセイを複数冊読むということです。時代が古い分、なんか細かい部分で現代の考えと合わない部分はもちろんあるのですが、それよりも現代と共通している情緒的な面、先生の物事を考察する力、それらは読んでいて非常に楽しいものだし、心が温かくなります。幸いたくさんの本を出版されているようなので、時間のあるうちに数冊、追加で読んでみようと思います。

 

割合長くなってしまった感想となりましたが、何回読んでもとてもいい本だなと思いました。

思ったことを読み終わりの感動のまま本当に徒然なるままに書きましたので後々書き直す点もあるかもしれませんが、とりあえず今の心情を素直に書いた文だということで、ご容赦ください笑

 

それでは、この記事はこの辺で。

最後までお読み下さりありがとうございました。